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高校生向け解説

食べられる分子カプセル
健康を届ける

えごま油の「良さ」が食品に利用しにくい理由と、それを解決する研究を2つのトピックで解説します。

島根大学 吉清研究グループ / Cyclodextrin Group

油の成分「脂肪酸」のイメージ C C C C C 炭素 (C) が鎖のようにつながった構造 COOH 先端の「酸」 これが「脂肪酸」 一本の分子です
基本

いわゆる油には、いろんな種類の「脂肪酸」という分子が含まれる。脂肪酸は、炭素 (C) がチェーンみたいにつながっていて、長さや形によって性質が全然違います。私たちが食べる「油」は、こんな分子の集まりです。

トリグリセリド(中性脂肪)の構造 | xt-anchor="middle" font-family="'Noto Sans JP',sans-serif" font-size="12" fill="#444441">ル …C-C-C-C=C-C-C-C… 脂肪酸 ① …C-C-C-C=C-C-C-C… 脂肪酸 ② …C-C-C-C=C-C-C-C… 脂肪酸 ③ 1つのグリセロールに 3本の脂肪酸が 結合した構造 …C-C-C-C=C-C-C-C… これが「トリグリセリド(中性脂肪)」
トリグリセリドとは

私たちが食事で摂る油の多くは「トリグリセリド」という形をしています。1つのグリセロール(背骨)に3本の脂肪酸がつながった分子です。えごま油もこの形で、3本の脂肪酸のうちのおおよそ2本がオメガ3(α-リノレン酸)です。

えごま油に含まれる主要な5種類の脂肪酸を3D分子データで比較できます。ドラッグで回転、スクロールで拡大縮小。

ポイント

「オメガ3」は、脂肪酸の種類を表す名前です。メチル基(CH₃)側から数えて最初の二重結合が3番目の炭素にある脂肪酸を指します。オメガ3脂肪酸は複数の二重結合を持つため分子が折れ曲がった形になり、この性質が細胞膜をしなやかに保つことに役立っています。オメガ3脂肪酸は血液や脳・神経の健康との関わりが多く研究されています。4種類を切り替えて形の違いを確かめてみてください。

🌿
えごま油
α-リノレン酸を60%以上含む。植物由来のオメガ3として最高クラス。
🐟
魚油(DHA・EPA)
えごま油の主成分であるα-リノレン酸は、体内でDHAやEPAへと代謝されます。
⚠️
えごま油の弱点
酸化しやすく、液体なので食品に使いにくい。吸収率については、不明なことも多い。
ここが研究の出番

えごま油は「体に良い」と分かっていても、酸化(劣化)しやすく、食品に添加しずらいという課題があります。そこで「えごま油を粉末にして、さらに吸収率も高めよう」としているのが我々の研究です。

γ-シクロデキストリンの実際の3D分子モデル(ファンデルワールス半径表示)

γ-CDを真上から見た図:ドーナツ状の空洞が見える

真上から — 空洞がよく見える

γ-CDを横から見た図:筒状の構造がわかる

横から — 筒状の深さがわかる

赤 = 酸素原子 灰 = 炭素・水素原子

構造

ブドウ糖が7〜8個、輪になったドーナツ型の分子。外側は水になじみやすく(親水性)、内側の空洞は油になじみやすい(疎水性)という二重の性質を持ちます。食品添加物として安全性も確認済み。

「包接」の仕組み — 疎水性の分子が空洞にすっぽり、または部分的に入る

シクロデキストリンが分子を包み込む3Dモデル図(左:空のシクロデキストリン、中:ベンゼンが近づく様子、右:包接錯体)

赤=酸素原子 灰=炭素・水素原子 青=包み込まれる分子(ベンゼン)

包接反応

油分子の「油っぽい部分」がシクロデキストリンの内側の空洞に部分的に入り込みます。これを「包接」といいます。接着剤も共有結合もなし——ぴったりサイズが合うだけで起きる現象です。抜き差しもできる可逆的な仕組みです。

🫙
粉末化
液体のえごま油がさらさらの粉末に。料理や食品に混ぜやすくなる。
🛡️
酸化防止
カプセルに守られ、空気(酸素)と触れにくくなる。長持ちする。
📈
吸収率向上
腸の水っぽい環境でも油が取り込まれやすくなる。
なぜ吸収が上がる?

腸の表面は水っぽい環境です。包接することで油が水になじみやすくなり、腸壁に近づきやすくなると考えています。しかしそれだけでなく、まだまだ明らかになっていない現象が隠れていると考えています。ラット実験では血液中のα-リノレン酸が有意に増加することが確認されています。

私たちの発見が、実際の商品へつながっていく流れです。

🔬
吉清研究グループ
包接技術を開発・実験で効果確認
🏢
SNCC(企業)
島根大学発スタートアップ
🫙
商品開発
えごま油粉末・サプリ
🛒
あなたの食卓へ
健康食品として届く未来
リアルな社会実装

研究グループの知見が、島根大学発スタートアップ(SNCC)を通じて実際の商品開発へ。地元サプリメント企業とのコラボ商品も現在進行中です。大学で研究することが、こんな形で社会につながっていきます。

えごま油の脂肪酸とシクロデキストリン(分子カプセル)、いくつかの包接錯体を3Dデータで比較できます。

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